電力自由化が欧米で失敗した3つの理由

ドイツ電力自由化

ドイツのクリスマスマーケットの様子です。

クリスマスの4週間前からクリスマスピラミッドなどたくさんの飾り付けとライトアップされてとても美しい事で有名です。

そんな欧米ドイツでは電力自由化が失敗したと言われています。

日本で本格的に始まる電力自由化

電力自由化は地域に根差した発電業者(北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中部電力、関西電力、中国電力、四国電力そして九州電力、沖縄電力の一般電気事業者10社)による半独占的な電力の販売を撤廃し、従来の発電業者に加えて特定規模電気事業者(新電力)が電力の小売業に新規参入してきます。

また、それだけでなく消費者の側でも、既存の発電業者や新規参入の新電力から自由に電力を購入できるようになるというものです。

日本では2016年4月から本格的にスタートするということが決まっており、これによって電気料金が安くなったり、各一般・特定規模電気事業者が提供する電力プランが多様化したりというメリットが注目されています。

しかし、電力の自由化で得られるものはメリットだけではありません。

すでに電力自由化を導入した欧米には失敗例も見られるため、その二の舞になるのではないかという不安の声もあるのです。

では、電力自由化は欧米ではどのような推移を辿ったのでしょうか

ドイツにおける電気料金の推移

欧米諸国における電力自由化の推移を観察するために真っ先に取り上げられるのはドイツです。

欧米系の国々の中でも環境問題に関する関心が高いドイツでは、1998年に電力の自由化が導入されました。

その1998年の産業用電気料金は1KWHあたり約0.07アメリカドルで、前年の約0.08ドルに比べれば確かに多少は安くなっています。

その後も2000年までは下降を続け、2000年度には0.05ドルになりました。

しかし2001年以降は徐々に上昇していき、2003年には電力自由化開始直後の値段と変わらなくなります。

2007年になると0.1ドルを超えました。

また、家庭用の電気料金も大きな変化を見せています。

1998年には0.17ドル程度で、1997年のデータとあまり変化がありません。

その後2000年になって約0.13ドルになりますが、2001年度からはゆっくりと上昇していきます。

2007年には0.28ドルに、そして2009年には0.3ドルを超過しました。

このように、ドイツでは電力自由化直後には電気料金が少々安くなるものの、その後価格が上昇し、元々の料金よりも高くなってしまっています

ドイツの電力自由化の失敗原因

ドイツにおける電力自由化失敗にはさまざまな要因があると言われています。

一つは、新電力の失敗です。

ドイツでは電力自由化に伴い、多くの新電力会社が電力市場に参入しました。

それらの多くは一定のデポジット額を要求したり、一年間の電力を前払いさせたりするようなスタイルを取っていました。

それらが提供した料金プランは確かに従来のプランよりも安くなっていましたが、問題はその後に起こりました。

デポジットを取ったり電気料金前払いをさせたりした新電力会社が多く倒産してしまったのです。

また、悪質な新電力が引き起こした事件もありました。

特に、契約年数を定め、契約期間を満了しないうちに退会しようとすると高額な違約金を請求する新電力会社が少なくなかったのです。

中には初年度はとても安い電気料金を提示するけれど、次年度からは割高になるような悪質なプランもありました。

こうした失敗と電気料金の高まりから、環境大国ドイツにおける電力自由化のイメージは大幅にダウンしてしまいました。

欧米ドイツから学ぶ電気料金以外の懸念ポイントとは

ドイツは電気料金の上昇や悪質な新電力に苦しめられましたが、新電力について憂慮しなければならないことはそれだけではありません。

電力供給という根幹部分も、電力の自由化による影響を受ける可能性が高いのです。

例えば、電力自由化以降のドイツでは年間約17分間、イギリスでは18分間、そして米国カリフォルニア州では約417分の停電事故が2000年から2001年の間に発生しました。

この間、電力自由化を検討していなかった日本における停電時間は約14分間です。

小さな数字に見えるかも知れませんが、電力を自由化することによって電力の安定供給が危ぶまれることも事実です。

電力販売による利益ばかりに目を躍らせる事業者も多く、設備投資などにはあまり注意を払っていないことなどがその原因と言えます。

今後日本で導入される電力自由化で、この様な事が身近に起きるかもしれません。

メリットに目が行きがちな電力自由化ですが、落とし穴も把握しておく事も重要です。

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